【山形】 初孫 一徹生酛
1893年に創業。「初孫」の由来はみんなに愛され喜ばれるような酒にしたいと願いを込めて、酒名を「初孫」とされたそうです。創業以来、生酛(きもと)造りによる酵母育成をおこない、現在では全量生酛造りで仕込んでおられます。普通酒まで生酛づくりとは大変珍しい蔵です。
生酛づくりとは、自然に漂う乳酸菌をもと造りの際に取り込むことで、もろみ末期まで発酵が続く力強い酵母が生まれる昔ながらの造り。山おろしという櫂棒を使った重労働が必要ですが、初孫では専用のドリル式の櫂棒を開発。伝統を守りつつ省力化と平準化をすすめておられます。
世界最大規模のコンテストであるIWCに於いては2018年より史上初の3年連続トロフィー部門(第1位)を受賞。香りと味わいのバランスが良く、料理の味わいを引き立てるしっかりとした旨さを追求されています。
酒田は、江戸時代には「西の堺、東の酒田」と謳われ、海上交通の要所として栄えた港町です。そして北前船の寄港地として非常に重要な拠点でした。酒田においては米以外に紅花を積み、帰りの荷には、その紅花で染められた雛人形や京友禅などの京の文化を運んできました。「紅一升金一升」といわれるほど高値で取引され、一級品として名を馳せた出羽の紅花は、お米と並び酒田の商人に多大な富を築いたといわれています。初孫の蔵から最上川を渡った「日和山公園」に大きな北前船の模型があります。お近くにお越しの際は初孫さんの「蔵探訪館」と共に訪れて見られてはいかがでしょうか。
目指す酒質は、しっかりとした旨さとボディ感がありながらもキレの良い酒。生酛づくりの可能性にチャレンジし続ける、一徹さが気持ちいい蔵です。